平成25年度4月特別セミナー(H25.4.12)

「思い込みを変えることで、工事成績アップに繋がる仕組みづくりのポイント」
(沖縄市産業交流センター)
講師:宮崎 洋一氏 ((有)創友:代表取締役)

宮崎講師

平成25年度最初のセミナーとなる今回は、高知の(有)創友の代表取締役:宮崎先生を迎えて、工事成績をアップさせるための仕組みづくりについてお話し頂きました。

宮崎先生は、早くからCCPM工程表を取り入れた「三方(国民、発注者、施工者)良し」の活動を、全国的に指導・普及されてきた方です。
沖縄でも、宮崎先生の指導の下CCPM工程表を取り入れ、工期短縮、住民対策、発注者との信頼関係を築くことにより、着実に工事成績をアップさせている会社もあります。

最初に国交省の取り組みを説明され、コスト縮減 ⇒ 適正化法 ⇒ 品確法の流れがあり、現在の品確法において総合評価落札方式が行われていることなどを解説されました。
その総合評価方式も、技術提案を重要視していた頃からいろいろな改善点が見い出され、昨年度から実績重視型つまり、過去の工事成績・工事表彰・技術者の成績・技術者表彰などを重視する方向へ移行してきたことを説明して頂きました。

つまり、これからは受注した工事において如何に創意工夫して工事成績を上げるかによって、今後の工事の受注に大きく影響を及ぼすことになります。
この背景には、発注者側も受注者側も工事を落札するために技術提案を作成したり、それを審査するための時間やコストが大きな負担になっていることが考えられます。

その後宮崎先生のお話は、工事成績を如何にあげていくかということに進んでいき、120人近くの受講者の皆さんも真剣なまなざしで聞いておられました。
その中で、詳細工程表活用による工事成績アップへのプランニング、更には現場代理人や監理技術者の技量に頼るこれまでの方法では対応できない、会社の内部の人間や現場に配属された技術者も含めたグループによる取り組みが必要だと強調されました。
又発注者に対する第一印象が大切だとお話では、相手にどう信頼されるかを考えた時、契約図書や現場から読み取れるような疑義事項を話し合うことが重要だと言われ、メモを取ったりうなずく受講者も多くいました。

そして住民対策については、真の発注者となる住民を大切にし、信頼関係を築いてくれることが、発注者が求めていることの一つひとつだと語られました。

次に工事のプロセスが具体的に分かる写真の撮り方についての解説では、撮る立場ではなく、見る立場で写真を撮るべきだと強調して話され、ただ単に写真管理基準に則った写真だけではなく、施工に直接関わっていなかった方(検査官等)に品質の高さ、信頼性の高さを理解してもらうためには写真が重要で、工事成績に直結するようなものだと言われました。

このような形で午前中は、工事成績アップにつながるような項目を、いくつか事例を挙げて丁寧にわかりやすく説明されました。

4月特別会場

午後の講義ではまず、具体的に工事成績評定の項目について、どうすればチェックを入れてもらえるかについて説明され、たとえば監督職員がチェックする項目については、監督職員との信頼関係を築き、どのような場合にチェックがつくのかヒヤリングをかけることが必要だということでした。

次に工事成績評定の中からいくつか選択して、注意事項を挙げて頂きました。たとえば、安全教育訓練については1時間おきに写真を撮り、時系列で残すこと。デジタルカメラで撮影しているので、データに日時が残るから実際に実施したことが明らかになるので、ごまかしは利かないと言われました。

出来形管理や品質管理については、規格値の50%以内に入っているのは、偶然ではなくて必然であることを確認させることが不可欠であること。そのためには、愚直に丁寧に写真を撮っておくことが必要であると語られました。

続いて、宮崎先生が最も力を入れている「三方良しの公共事業改革」の実現に向けてについて話をされました。
「住民良し」、「受注者良し」、「発注者良し」の関係を築くことが目的で、つまり3者がWin-Win-Winの関係となることが重要です。

このためには現場から始め、そこから信頼関係を地域との関わり中から作り上げることが必要だと言われました。
その後、ワンデーレスポンスと三方良しとの関係性について説明され、これまでに宮崎先生が関わって取り組んできた、三方よしの現場における取り組みを紹介して頂きました。
福島県、群馬県、新潟県、高知県などの事例で、特に高知県の建設会社の取り組みでは、3年連続で監督職員がこれまでに付けたことがない80点越えの点数をつけてくれたことは印象的でした。
塊より始めよということわざがありますが、建設会社の取り組みが感動を生み大きな流れとなったことを、宮崎先生は熱く語っていました。

最後にCCPMの考え方の説明、およびルールに則ったCCPM工程表の作成方法を説明して頂き、その成果が表れている会社が実施したことを、いくつか紹介されました。

工事成績アップは、近江商人の「売手よし、買手よし、世間によし」という三方良しの精神が重要であることを理解することができたような気がします。今日の講義を活かして、今後はお客さんである発注者や、その後ろに控えている住民に喜んで頂くことを常に考えながら、「本気」で取り組んでいきたいと思います。

(東洋飯店:那覇市)

100回記念親睦会2

平成21年8月に設立し、平成25年より当NPO法人グリーンアースにおきまして運営を行ってきました「沖縄建設マネジメントフォーラム(OCMF)」ですが、おかげさまで平成25年3月16日の名護市でのセミナーにて、100回目のCPDSセミナーを迎えることが出来ました。

長きに亘り、沖縄県の建設技術者へのセミナーを開催してこれましたのも、ひとえに参加企業様・技術者様並びに講師の先生方の、ご支援ご配慮の賜物と深く感謝しております。

100回開催を記念致しまして、講師の先生方やセミナー参加企業の技術者様をお招きし、日頃の感謝の気持ちを込めまして親睦会を開催しました。

NPO法人グリーンアースでは、引き続き県内技術者にとって、有意義で実りのあるセミナーを開催していく所存でありますので、今後も何卒宜しくお願い申し上げます。

平成25年度4月定例セミナー(H25.4.20)

「下部工(基礎-鋼管杭)に関する最近の動向」&「自然環境の定量的評価と土木史に残る偉人像」
(沖縄産業支援センター:那覇市)
講師:山口 昭氏(JFEスチール(株))&金 芳晴氏((株)環境技建ウェーブ)

山口講師

午前の部はJFEスチール(株)の山口さんに講師をお願いし、「下部工(基礎-鋼管杭)に関する最近の動向」と題して講演して頂きました。
本セミナーにおいては、杭や鋼構造に関する講演がこれまで若干手薄であったこともあり、今回は多くの方に参加して頂き、又参加された各社には鋼管杭に関する書籍(鋼管杭―その設計と施工―、鋼構造設計便覧等)を無料配布させて頂きました。

自己紹介の後、ビデオ上映が始まりました。
1.基礎・鋼管杭に関する概論
鋼管杭の有用性について、土木及び建築工事それぞれの説明があり、次に鋼管杭の工場製作方法などを紹介して頂きました。
鋼管杭の特徴として、工場製品による品質の高さ・合理的な設計が可能・上部構造との結合が容易・工種の短縮などによる経済性・大きな支持力・大きな曲げ応力・などを挙げられ、施工方法についてはその手順に合わせて非常に分かりやすく説明されました。
又、鋼管矢板の井筒工法の紹介では、仮締切と基礎杭との両方の機能を果たす点は、合理的な工法だと感じました。

新技術と新工法としては、軟弱地盤地域でのネガティブフリクションの発生に対して、SL杭にて対応している現場を紹介して頂きました。
海洋部の飛沫帯と呼ばれる箇所においては、通常の鋼管だと簡単に腐食してしまうが、重防食鋼管杭は腐食から鋼管を守ることが出来るそうで、耐久性の高い工法であることを実感しました。

そして鋼管杭協会がそれらの技術の下支えとなり、動的支持力を図る試験等いろいろな試験を行っていることを紹介して頂きました。
ビックプロジェクトには、鋼管杭、鋼管矢板は、必要不可欠な基礎工だと感じるビデオ内容でした。

産業支援センター

続いて、鋼管の材質や種類について説明されました。
2.鋼管杭の材料と施工法
①鋼管ソイルセメント工法(HYSC杭)の施工(ビデオ+解説)
糸満の国道現場等でも採用されている工法で、ビデオで一通りの工程と東京外環道の施工例を紹介して頂きました。
②回転杭(つばさ杭)の施工(ビデオ+解説)
鋼管杭の先端につばさと呼ばれる杭径の2倍の翼が2つ付いているため、大きな支持力が得られるとのことで、杭を回転させて打設するため排土が少なく土砂搬出も大幅に低減出来る等の長所を説明されました。
つばさ杭の製作過程や、支持力実験を見せて頂き、つばさが回転して支持力が得られることを分かりやすくCGで説明されました。

③回転杭(つばさ杭)の事例ビデオ
テレビで放映された事例を紹介されました。
熊野神社が昔水害に遭い、それを機に神社は移設して小さくなったとのことで、平成になってから宮司の提案により、実際にあった箇所に大鳥居を設置することになったそうです。
高さ33.9mの日本最大の大鳥居を設置するにあたり、地盤が弱かったので25mの鋼管杭が必要となった。そこで使用された杭がつばさ杭だということです。

④鋼管杭の現場溶接方法(ハイメカネジ)
鋼管杭の機械式継手があるということを初めて知りました。ハイメカネジ、ネジール、カシールという工法で、はめ込み式やネジ式のものがほとんどだそうです。

⑤鋼管矢板パイラー圧入中堀り併用工法(ドリリングプレス工法)

⑥ガンパイル工法
油圧ハンマでは打設不可の工法に対して、岩盤のCh級の岩にも打設できる工法がガンパイル工法だとのことです。

⑦高耐力継手の鋼管矢板井筒基礎工法(ハイパーウェルSP)
鋼管矢板の継手に縞鋼板を使うことにより、継手施工性の改善や基礎平面寸法縮小が可能になり、大幅なコスト縮減になるとの説明がありました。

3.平成24年度道路橋示方書の改正点
道路橋示方書の鋼管杭に関する改正点を説明されました。
新規に規定された工法の中で、鋼管ソイルセメント工法や回転杭工法が加えられています。
その他、鋼管矢板基礎の構造細目や現場溶接継ぎ手の改正点について説明されました。
斜杭の施工が復活し、斜杭の利点として杭本数を減らすことができ、コスト縮減になる点を挙げられていました。

全般にわたり、ビデオやパワーポイントなどを駆使して、大変分かりやすい講義で勉強になりました。

金講師

午後の部は「自然環境の定量的評価と土木史に残る偉人像」と題して、(株)環境技建ウェーブの金芳晴さんに講演をお願いしました。

はじめに昨年の台風16号の影響(沖縄での瞬間最大風速57.5m:宮城島)直後の、沖縄本島海浜の状況を調査した結果を解説して頂きました。
南城市のあさまサンサンビーチ・西原マリンパーク・浜比嘉島人工海浜・宇堅ビーチ・伊芸ビーチ等、東海岸での調査結果で、いずれも多くの砂や木屑が堆積し、石垣の近くまで波が来た痕跡や売店にまで多くの砂が堆積した例などを、分かりやすく写真を使って説明して頂きました。

やはりこれらの人工ビーチは自然ビーチと違って維持管理が大変であり、観光面では必要かもしれないが、非常に無理があるとのお話でした。

駿河湾(御前崎)の飛散防止対策の紹介では、堤防高さと風速の関係を計算し、二線堤を設置して砂の移動を停止した事例を解説され、沖縄では堤が全くない状況を疑問視されていました。

今後は沖縄でも「新たな人工ビーチのあり方」として新たな提案が必要かもしれないとのことです。
台風銀座である沖縄こそ。風速6mで砂は移動する状況を考慮した海浜のあり方を、もう一度考え直す必要があるかもしれません。

次に、ミチゲーション手法についてフローと事例を示して分かりやすく解説して頂きました。
ミチゲーション手法とは、開発などにより環境に悪い影響を与える行為に対して、同等の新たな環境を整備する等のために、定量的な評価を実施する手法で、具体的には①回避、②最小化、③修復、④低減、⑤代償など各種の把握方法が提案されています。

具体例では、埋立によって失われる藻場や漁場の新たな自然環境創造について説明して頂き、東京都ではこのような科学的評価によって、人工海浜の設置場所を新島に決定した例を紹介されました。
沖縄では各市町村にいくらでも人工ビーチを作っているが、後世につけを残すことになってしまうのではないかとの指摘もありました。

後半の部分では、琉球の教育史の解説があり、中国の科挙の制度を取り入れて、首里王府でも1780年に初めて実施され、500~600名の受験者から数名が選出されたことや、国学・平等学校において昔の琉球人はかなりの勉強家であったことを知らされました。

又江戸上りでは本土の人に大きな影響を与えたことなどから、琉球には著名なプロフェッショナルが数多く居たことが推測されました。

歴史に残る偉人像として、牧志朝忠や井原西鶴、現在では山中伸弥・田中耕一・秋山康各氏等の、人生観や仕事に対する意気込みについて、なるほどと思うような解説がありました。

金先生は国土交通省出身でもあり、その見識の高さに敬服すると共に、今でも続けているという音楽の趣味等、本当に幅広く勉強されておられることに感動させられた講義でした。

平成25年度4月石垣・宮古セミナー(H25.5.8、5.9)

「コンクリート構造物の寿命をのばすには」&「工事成績アップとコミュニケーション」
(石垣市商工会館:石垣市、建設業協会宮古支部:宮古島市)
講師:崎濱 明氏((株)あすもり建設コンサルタント)&前田 憲一氏((社)建設情報化協議会)

崎濱講師2

午前の部は(株)あすもり建設コンサルタントの崎浜さんに講師をお願いし、「コンクリート構造物の寿命をのばすには」と題して講演して頂きました。

6時間分のセミナー資料の中から、今回のセミナーでは3時間半の持ち時間で、ピックアップして施工順序に合わせた劣化要因とその対策及び、ひび割れについて話をして頂きました。

1.施工順序にあわせた劣化要因とその対策
1-1.コンクリート構造物の不具合
コンクリートの不具合の種類と起因する工程や、施工性能を高めるため意に必要な要素を示しての説明。
又、ひび割れはコンクリートの劣化を最初に目視確認できる印であることと、ひび割れが施工工程のどの段階にも関わっていることを話されました。

1-2.生コン工場の見分け方
生コン工場のほとんどが、JISマーク表示認定工場であることから試験練には工場に行くものの、工場が生産する生コンの品質については工場任せになっている点を指摘されました。
試験練で工場に行った際に、チェックする方法を具体的に説明して頂き、施工業者の技術者が生コン工場に足を運ぶことによって、より良質のコンクリートを得ることが出来ることを力説されていました。

1-3.運搬と打設時間
練り上がりから運搬・荷卸し・型枠の中に打ち込むまでのトータル時間が、90分を下回らないように計画することで、水平方向に発生するコールドジョイントを防ぐことが出来るとのことです。又、コールドジョイントは貫通ひび割れと同じであるため、構造物の耐久性を大いに損ねることを説明されました。
更に、コンクリート打設時間が長くなると、コンクリートの品質に影響が及ぶことを、場所打杭の事例を挙げて説明して頂きました。

1-4.鉄筋工
現在の設計上の問題として、耐震性向上のために配筋が過密化したことを中心に、その弊害となるジャンカや未充填が多発したことを説明され、設計照査の際にチェックすべき項目を9点ほど紹介して頂きました。
過密鉄筋になる可能性の高い重要構造物の施工での対策についてや、かぶりがコンクリート構造物の耐久性を左右するほど重要な部位であることの詳しい説明がありました。

1-5.型枠工
セパレータがコンクリート構造物の弱点になることを事例を挙げて説明され、その対策としてセパレータを使用しない工法や極力減らすための工夫を紹介して頂きました。

1-6.コンクリート打設
土工⇒土留工⇒捨コン⇒鉄筋組立⇒型枠組立⇒コンクリート打設という一覧の流れの中で、コンクリート打設は1日でほとんどの場合終了するが、そのコンクリート打設がうまくいかないと、それまでコツコツと積み重ねてきたものまで不良品扱いとなってしまうため、スランプの適正な設定やポンプ車の使用方法・バイブレータのかけ方・過密鉄筋に対する打設時の工夫・再振動の重要性・仕上げの方法などについて詳しく説明して頂きました。

1-7.養生
水和反応のメカニズムと、養生がコンクリートの強度や耐久性に大きく影響することなどを図表にて説明して頂き、養生方法については、給湿養生・被覆養生・保温養生について解説頂きました。

2.ひび割れについて
ひび割れが出るとなぜ問題になるのかの説明があり、施工時に発生するひび割れの種類やパターンを紹介して頂きました。更に、ひび割れ抑制の目的については、耐久性・構造物の信頼性・工程・コストといった観点から、又ひび割れの評価方法や、ひび割れ幅0.2㎜が必ずしも鋼材腐食につながるのかどうかを、コンクリート標準示方書やコンクリートのひび割れ調査、補修・補強指針などから抜粋して説明されました。

2-1.プラスチックひび割れ
発生時期・発生のメカニズム・発生させないための対策などについて解説されました。

2-2.乾燥収縮ひび割れ
プラスチックひび割れと類似するひび割れであるが、脱型後に発生するものであることなどから区別されていることを説明され、又乾燥収縮ひび割れには内部拘束型と外部拘束型があり、内部拘束型は拮抗上にひび割れが入り、ひび割れの深さが比較的浅いことなどプラスチックひび割れと類似していること、構造体への影響も少ないことを説明して頂きました。
次に、外部拘束型は橋梁の壁高欄や張り出し床版に発生しやすく、貫通ひび割れになりやすいことを、貫通ひび割れは構造物の耐久性に大きな影響を与えること、乾燥収縮ひび割れを発生させないための工夫や工法を説明して頂きました。

2-3.温度ひび割れ
マスコンの説明の後、沖縄においては気温の高い夏場ではなく、昼と夜の温度差が出る秋から冬にかけての時期に発生する可能性が高いことを講師の経験から説明され、この温度ひび割れも内部拘束型と外部拘束型があること、当然、外部拘束型は貫通ひび割れとなるので、施工時に最も注意が必要なひび割れであることを説明されました。
山口県では、この温度ひび割れの外部拘束型に注目して、県をあげて対策をしているとのことです。対策工として、コンクリート温度の低減・温度応力の緩和・温度応力に対する抵抗力の増加の3つについて解説して頂きました。

3.施工状況把握チェックシート
このシートは山口県が作成したものに、講師が本日紹介した対策なども含めて改良したものです。
これを使うことによって、今後石垣・宮古で施工するコンクリート構造物が耐久性の高いものになることを期待したいと思います。

前田講師3

午後の部は「工事成績評定点アップとコミュニケーション」と題して、前田憲一さんに講演して頂きました。

テキストに入る前に、総合評価落札方式の変更点について説明されました。
今後は施工能力評価型と技術提案評価型の2つに分かれ、その90%が施工能力評価型になり実績を評価する方式になるとのことです。
そこで評価するのは、工事成績・工事表彰・担当技術者成績・担当技術者表彰と実績となり、この中で技術者と会社の評価が五分五分となる。つまり技術者がこれまでは高く評価されることはなかったが、今後は技術者の技術力がクローズアップされる時代になり、技術者の評価が今後の受注につながる可能性が高くなる。これからは優秀な技術者がヘッドハンティングされるようになるかもしれないと言われました。

その後「公共工事の品質確保の促進に関する法律」の第6条について説明されました。
続いて工事成績評定の仕組みについて工事成績採点表について例を挙げて分かりやすく説明され、それを踏まえて工事成績向上取組フローについて、会社や技術者が取り組む方法を例を挙げながら解説されました。
この中で工事成績アップに向けてPDCAを回し、常にスパイラルアップすることが大切なこと、単発で工事成績を上げても真の実力ではなく、それでは常に受注し続ける体制を作り上げることができないので、次に繋げていく活動が重要であることを説明して頂きました。

工事成績評定通知書の活用方法として、発注者から情報を引き出す方法をお話しされ、成績が悪くても次に繋がることを考えなければならないと感じました。
又具体的な例を挙げて、過去の工事成績に対する弱点の見つけ出し方を分かりやすく説明して頂きました。

工事成績評定要領の基本的解釈を説明では、如何に自主的に遂行したかに重点があるかということが理解出来ました。
更に、施工体制一般からチェックリストの解説を行って頂き、その中ではやはり施工計画書の重要性ということを強調されていました。

あと順次要点をとらえて、前田先生の持つ情報なども交えながら具体的でわかりやすい解説を行って頂き、工事成績評定を行うに際し要になるのは主任技術評価官であること。それは40%の持ち点だけでなく、その評価が総括技術評価官や技術検査官の基になるということを理解することが出来ました。

最後にコミュニケーション能力について、いろいろな手法をあげて解説されましたが、心理学にも通じるような人間心理の深さ・複雑さを感じるものでした。

今後技術者個人・個人が、その能力を発揮して、それに見合う報酬なりを得る時代に入るような感じを、今日の前田先生の話を聞いていて受けました。
CPDSの推奨ユニットを取得するだけの受け身で学ぶのではなく、自ら前向きに技術力UPのための自己研鑚を重ねていくことが、技術者の将来を分けるような気がします。

平成25年度5月特別(1)(2)セミナー(H25.5.10、5.11)

「コンクリート技術の現状(コンクリート診断士資格取得学習を兼ねて)」
(いちゅい具志川じんぶん館:うるま市、北部生涯学習推進センター:名護市)
講師:篠田 佳男氏 (日本コンクリート技術(株))

篠田講師

5月特別セミナーは日本コンクリート技術(株)の篠田先生をお迎えし、うるま市と名護市で「コンクリート技術の現状」と題して、コンクリート診断士資格取得へ向けた学習も兼ねて講演をして頂きました。
両日共に数多くの受講者が出席され、改めて沖縄県の建設技術者の学ぶ意欲を感じました。

(1)コンクリート診断士
21世紀は維持管理の時代だと言われており、特に重要な資格となるコンクリート診断士の資格取得について、はじめにお話して頂きました。

昨年の笹子トンネルの天井版崩落事故は、コンクリートの劣化ではないが、今後は建設投資の中心として、安全・安心な社会の形成ということで維持管理にお金をかけると言われており、コンクリート診断士の需要は益々高まっていくそうです。

1)コンクリート診断士の概要
4択問題は正解率75%以上を基本に、40問中30問以上正解を目指さなければならないそうです。
記述式は、問題A(診断士としての資質)、問題B(診断士としての実務能力)となっていて、マス目は80%以上埋めること。記述式の方がウエートが高いとのお話でした。

2)劣化機構
劣化要因についてはコンクリート低品質、配筋不良の二つが群を抜いており、この2つを克服することによってかなり耐久性が向上するとの事です。
コンクリートの低品質とは初期欠陥つまり、施工時に発生するジャンカ・ひび割れ・あばた・コールドジョイントなどのことであり、コンクリートの耐久性を左右するのは、施工を担う現場監督の技術力なども関係するように思われます。
劣化機構としては経年劣化として、中性化・塩害・鉄筋腐食・アルカリシリカ反応・化学的腐食・溶出・摩耗・疲労について、コンパクトでポイントを突いた資料を基にわかりやすく説明して頂きました。

3)調査手法
調査の概要を人間と構造物という対比表を用いて説明され、コンクリート診断士はコンクリートにとっては医者のようなものだということが理解できました。
又、コンクリートの圧縮試験・調査【書類、外観】・ひび割れ・はく落・空洞調査・かぶり・鉄筋腐食・コンクリートの配合などの試験方法等の説明をして頂きました。

4)判定基準
コンクリートのひび割れ調査、補修・補強指針-2009-から、評価Ⅰ、評価Ⅱ、評価Ⅲに関する違いを説明されました。

5)補修・補強
ひび割れ補修工法・断面修復工法・表面被覆工法・脱塩工法・再アルカリ化工法・電気化学的補修工法など様々な補修工法を紹介して頂き、大変参考になりました。

いちゅい具志川

(2)温度ひび割れ制御技術
1)マスコンクリートについて(2012年制定 コンクリート標準示方書 等)
構造物を施工する際に発生するひび割れの中で、最も多く発生するのが温度ひび割れで、それがマスコンクリートと呼ばれる部材厚の厚い構造物に発生するそうです。
沖縄のコンクリート診断士も、毎年1~3月になると現場に呼ばれることが多くなるが、やはりこの温度ひび割れが一番多いとのことです。
その際、ひび割れが入るのは必ずしも全て施工者が悪いのでなく、設計の際に温度解析を実施し、ひび割れ指数が1.0を下回る箇所については、対策を検討しておくのが設計者の責任である。とのお話でした。又そのことをコンクリート標準示方書から抜き出した文章を用いて説明されました。

2)温度ひび割れ制御に関する取り組み
温度応力解析事例を3次元モデルで説明され、拘束される箇所にひび割れが入ることがイメージできました。

①ND-WALL工法
篠田先生が発明された工法で、拘束部分が温度低下しても自由に収縮変化すれば、ひび割れが入らないという発想で考えられたものです。先行壁体に収縮低減目地を配置、目地が閉開することで拘束を低減する工法であり、その実験例や施工実績を表や写真で説明されました。

②NDリターダー工法
この工法は、ND-WALL工法をさらに進化させた工法だとのことです。
前述の先行壁体を超遅延剤を添加したコンクリートとすることで、外部拘束を低減してひび割れを防止するもので、この工法については、現在性能確認中とのお話がありました。

3)ステンレス鉄筋を使用した新たな技術
ステンレス鉄筋は価格にして普通鉄筋の6倍ほどするとのこと。したがってエポキシ樹脂塗装鉄筋との価格差が問題であると言われました。
しかし取扱いにおいては、塗装のはがれや付着強度の低減などを克服できるなど、施工性・耐久性の観点からかなり有利な点があることを、開発者として強調されていました。
又ステンレス鉄筋を使用した高機能RC部材についても説明して頂きました。

午前・午後と長丁場のセミナーではありましたが、これからのコンクリート工事の向かう方向を示して頂き、とても有益な内容だったと思います。

平成25年度5月定例セミナー(H25.5.25)

「公共工事品質確保の取組みの現状について」&「橋梁の長寿命化修繕計画に基づく補修・補強の概要」
(宜野湾マリン支援センター:宜野湾市)
講師:松田 泰成氏((一社)沖縄しまたて協会)&親泊 宏氏((株)ホープ設計)

松田講師

午前の部は、「公共工事品質確保の取組みの現状について」と題して、(一社)沖縄しまたて協会の松田泰成さんに講演して頂きました。

1.東日本大震災ボランティア活動の報告
沖縄しまたて協会のメンバーなどが、陸前高田市において田んぼの除草やがれきの処理などを実施した活動記録を紹介して頂きました。
津波により橋の上まで来た海水が、浮力で橋桁を壊してしまった様子など、その痛ましい姿を図や写真で説明されました。
震災時の写真は、2年経った今でも自然の驚異と人間の無力さを感じさせます。

沖縄からのボランティアの皆さんは、他のボランティアの方と協力し合って重機等のない条件下で、除草や田んぼ・ひまわり畑などを作る作業をされたそうです。
小さなことかもしれないが、そこから一歩ずつ歩み始めることは人間の尊厳の証ではないだろうか。と松田先生の話を聞いていて感じました。

2.平成25年度の総合評価方式の改定について
総合評価落札方式のこれまでの問題点を提起し、総合評価の改正点を説明されました。施工能力評価型と技術提案評価型の二極化で落札者を決めていくことが主な点です。

分任官発注の工事についてはほとんど施工能力評価型つまり、過去の実績の評価と金額で落札者を決めることになるとのお話でした。
今後は過去の工事成績・工事表彰・過去の技術者成績・技術者表彰が大きなウェートを占めていくということになります。

今までの技術提案という落札者決定方法が、これからは過去の成績重視。受注した工事においてコツコツと工事成績を上げていく努力が問われる時代になった感じです。
また、若い技術者が参加できるように、チャレンジ型という方法も試行していくということでした。

その後は事故の取り扱いやオーバースペック、書類作成の改正点等について詳しく丁寧に説明されました。
又入札参加に提出する書類の不備について、事例を挙げて解説されました。例えば電線共同溝は一般土木ではなくて、アスファルト舗装でコリンズに登録する必要があることなどです。

3.建設工事の技術者の専任等について
2つの現場で主任技術者が同一の場所または近接した場所においては兼務できるということを説明されました。しかし、これは監理技術者では不可となるということを知っておいて欲しいとのことでした。

4.第三者による品質証明業務について
施工プロセスを通じた検査と出来高部分払いは、検査項目がかなり簡素化されてきました。
施工プロセスにおいては、既済検査の場合出来形について確認するのであって、技術検査ではないので完成検査時に技術検査をすることになっていとのことです。
又「施工者と契約した第三者による品質証明業務運用ガイドライン」について、その内容を説明されました。

5.現場の施工事例(品質確保対策)
高欄がアルミ材の場合、異種金属腐食が発生するのでその対策が必要など、写真や図を紹介して施工に起因した損傷について説明して頂きました。
又技術提案や工事成績アップにつながるような創意工夫についても、写真や図を示して紹介されました。

6.その他
ボス供試体の使用や共通仕様書の変更において、場所打ち杭の鉄筋の組立においては、溶接を行ってはならないことを紹介して頂きました。

現在沖縄総合事務局が実施ている内容について、いろいろなお話をして頂き、今後の建設会社の取組み方法を示す貴重な講演でした。

親泊講師

午後の部は、(株)ホープ設計の親泊宏さんを講師に迎え、「橋梁の長寿命化修繕計画に基づく補修・補強の概要」について講演して頂きました。

1.はじめに
今後の公共事業の主体は、造ることよりも維持保全することにシフトしていく傾向になることは明らかであるとのことです。
平成25年2月に「道路ストックの総点検」により、国交省から各地方公共団体にまで、管理する道路施設の損傷や不具合を総点検することになり、その結果を受けて、来年か再来年くらいには工事に反映されてくる可能性が高いとのお話でした。

2.沖縄の現状
沖縄の橋梁の数などの現状についての概要を説明されました。

3.長寿命化修繕計画策定の概要
長寿命化計画をさせていない地方公共団体には補助を出さない趣旨の元、地方公共団体に策定についての通達をしたとのことです。
これは橋梁の長寿命化並びに、橋梁の修繕及び架け替えにかかる費用の縮減を図り、地方の道路網の安全性・信頼性を確保するためのものであり、これらについて事例を用いて説明されました。

道路橋の現状分析として、20年後以降は老朽橋梁が急激に増加すること、沖縄であれば塩害による劣化が多いので、塩害対策が長寿命化のポイントとなることを指摘されました。

次に長寿命化修繕計画の基本方針について、優先順位のつけ方について説明され、さらに橋種毎の管理方針について、4つの方針があることを述べられました。
健全度の評価方法・重要度の評価方法を説明した上で、これらを用いて優先度の評価方法について説明されましたが、沖縄県においては10年以内は、健全度の低いものから優先的に修繕し、11年以降は優先度として健全度6割・重要度4割の割合で優先順位をつけることにしているとのことです。

又予防保全・事後保全・LCC・予算の平準化などを行って、長寿命化修繕計画を立てていくことを説明されました。
その後沖縄県長寿命化公表資料についての解説がありました。この資料作成にあたっては、親泊先生の会社が中心になって県の技術者と一緒に策定していったとのことです。
長寿命化計画は、策定後必ずHPに掲載することになっているので、一般の方がいつでも見れるような状況であると言われました。

宜野湾マリン支援センター

3.県内の橋梁の状態
平均気温22℃・年間平均降雨量約2,000㎜という温暖多雨であり、台風などによる塩分の飛来などにより、厳しい腐食環境にあることを紹介して橋梁の現状について紹介されました。

橋は表側の状態が良くても、橋の下にもぐって中の状態を見るとかなり悪い場合があるとのことです。
主桁部分のひび割れ・頂版コンクリートの剥落・RC橋のコンクリート剥落(かぶりの施工不良)・横桁のジャンカ・PC中空床版橋のボイド部のひび割れ・ゲルバーヒンジ部の劣化・鋼橋の腐食(塗装の劣化による)・鋼製支承の腐食・下フランジの腐食によるフランジ幅の減少・添接部材(ボルト)の腐食・橋脚の膨張性ひび割れ(アルカリ骨材反応)・ASRと塩害の複合劣化・橋脚のひび割れ・アルミ高欄の地覆のひび割れ(異種金属腐食によるひび割れ)等について、写真を示して説明して頂きました。

これらを見ると公共施設の安全性について、造れれば良いという想像力の乏しい施工は、将来自分達の生活を脅かすものとなることを自覚していなければいけないと感じました。

平成25年度6月定例セミナー(H25.6.1)

「技術士を目指して」
(名護市労働福祉センター:名護市)
講師:川間重一氏・高良茂宏氏(沖縄県技術士会)

今回は沖縄県技術士会の川間重一先生並びに高良茂宏先生に講師をお願いし、「技術士を目指して」と題して講演して頂きました。

川間講師

1.技術士とは何だろう?(川間先生)
技術士について概要を説明して頂きました。技術士の定義、特典、技術士補と技術士の義務・責務、技術士プロフェッション宣言、技術士倫理綱領について解説され、特に次の言葉が印象に残りました。

「技術は日進月歩。昨日までの新技術は、今日から常識になっている。常に学ぶことが必要である。」

CPDS取得を一級土木施工管理技士の皆さんが求めらえているように、技術士もCPDとして、自己研鑽が求められています。
技術士の資格を取得するということは、社会的にも信頼が高まるので是非受験して取得して欲しいとのことでした。

2.試験制度(高良先生)
技術士の趣旨や試験制度の概要として、その流れを図を用いて丁寧に説明されました。
受験勉強は決して無駄にはならない。勉強する癖をつけることと学ぶことの大切さを知ることができるし、合格したら技術者としてステップアップしていける。と言われました。

次に、一次・二次試験の内容について説明されました。今年の試験から試験内容が変わることになっており、その内容について対比表を用いて解説して頂きました。

高良講師

3.一次試験の内容と対策(高良先生)
この6月が申込書の提出期間となるため、会場にいる受講者の皆さんも十分に今年受験することができることを説明されました。
一次試験に合格してこそ、二次試験が受験でき技術士になることができるので、技術士の入り口は一次試験にあるということだと説明されました。

合格基準は50%正解とのことですが、ある程度自分の得意なところを選択して勉強していけば、十分に合格できる試験であることを強調して話されました。
自信がある問題から解答していけばよいとのことです。

その後適正科目、専門科目、基礎科目の各試験科目について詳しく説明され、さらに科目別の勉強方法の紹介がありました。

最後に出題事例を解説して頂き、ほとんどの場合過去問が出題されているとのお話がありました。また一次試験の範囲は広く、すべてを学ぶには時間が足りないので、集中して得意分野を中心に進めていくことが必要だと言われました。

4.二次試験の内容と対策(川間先生)
午後の始まりの時間に昨年川間先生が受験された時の体験談を話して頂きました。これから受験する方にとっては、非常に貴重なお話だったと思います。経験者の体験談を聞くことはとても勇気を与えてくれます。

今年からの試験方法の変更点についても、かなり調べられたようで詳しく述べられました。
必須科目が今年から択一式に変わったこと。昨年とほぼ同じの選択科目における専門知識と応用能力、これまでは必須科目で記述形式で問われていたものが、選択科目で問われるようになった技術的課題解決能力の問題について説明されました。

ここで、必須科目の試験対策について時間を割いて説明されました。
国土交通白書を浅く広く読んでおくこと。気づいたこと、新たな発見を見落とさないことなどです。
又土木学会誌、法律の条文、循環型社会形成推進基本法、公共工事の適正化法、品確法などを理解しておくことも重要とのお話でした。

更に国土交通省のHPより各種審議会資料などに目を通しておくこと。特に、笹子トンネル事故についてはしっかり理解しておくことが必要だと言われました。
PDFの資料をダウンロードする場合は、白黒で打ち出して自分でマーカーを入れながら読むとかなり勉強になるとのことで、非常に参考になる勉強法だと感じました。

この後択一式の問題傾向や解答方法について過去問を使って説明されました。
選択科目の課題解決能力については新設の問題であるため、昨年度の必須科目の問題を例に説明されました。ここで強調されていたのが、聞かれていることに忠実に答えることだとのことです。
又、例年と同様の形式で出題される専門知識と応用能力についての説明がありました。

最後に筆記試験合格後の口頭試験対策について解説があり、これについても今年から変わってくることを含めて説明されました。
筆記の合格通知が来るまでに、試験の答案の復元が重要であることを先生自身の失敗談も含めて説明され、「備えあれば憂いなし」という思いがしました。

川間・高良講師

5.記述式試験対策(高良先生、川間先生)
高良先生の合格体験談を交えた記述式試験対策を話して頂きました。
勉強法として、合格者の論文をひたすら書く訓練を1か月間行い、次にある程度書けるつもりで論文に取り組んでみたら全然書けなかった体験から、キーワードの取りまとめのお話がありました。

その後に論文を作成し、技術士の方二人に添削をしていただいた経験談や、添削をして頂く中でいろいろ苦戦したお話がありました。

6.演習
254文字と216文字の文章を読んで、要約文をつくる演習を行いました。
自分で手を動かして作成する作業は能動的であるため、受講者の皆さんも真剣なまなざしで取り組んでいました。

7.演習の解説
上記の演習問題2問を受けて、川間先生が解説しながら解答例を紹介されました。短縮文章の作り方について、非常に分かりやすい解説だったと思います。
文章を論理的に書くということは、数学の問題を解くよりも思考能力を高める必要があるかもしれません。受講者にとっても貴重な体験だったと感じました。

名護市労働福祉会場

朝の9時半から17時までの長時間の講習ではありましたが、受講者の皆さんは興味深く話を聞いていました。
よく現場で現場監督等から、「技術士なんて私の頭ではどうしようもないよ。」などのお話を聞く機会がありますが、今日のお二人の先生の講演は実に分かりやすく、技術士という高度な資格に挑戦してみたいと思わせてくれるような内容だったと思います。
今回の受講者の中から、一人でも多くの方が技術士を目指し、技術士試験合格に繋がることを祈ります。

平成25年度6月特別セミナー(H25.6.22)

「コンクリート初期ひび割れ対策」&「島嶼離島県沖縄における環境地盤工学の役割」
(沖縄県総合福祉センター:那覇市)
講師:宮城 敏明氏((株)沖縄建設技研)&上原 方成氏(琉球大学名誉教授)

宮城講師

午前の部は、(株)沖縄建設技研の宮城敏明さんに講師をお願いし、「コンクリート初期ひび割れ対策」と題して講演して頂きました。

1.コンクリート工事
コンクリート工事を行うに当たって、参考とすべき参考書を数冊紹介されました。基本的な本からコンクリート標準示方書などです。

次にコンクリートを構成する材料の分類、品質による分類、練り混ぜ場所、施工時期による分類を紹介して頂きました。
良いコンクリートを作る条件として、①適正なセメントの使用、②不活性な骨材の使用、③水セメント比が小さく単位水量が少ない配合、④密実で均質であること、⑤打ち込みが良く管理されている、⑥適切に養生が行われている。ということについて、詳しく説明されました。

又フレッシュコンクリートの性質と硬化コンクリートの性質についても説明され、コンクリートの施工に関しては、特に打設について詳しく解説されました。密実なコンクリートを打設するには、養生をしっかり行うことが必要だとのことです。

2.コンクリートの初期ひび割れ
耐久的なコンクリートを作るには、施工時における対応が重要であることを説明され、代表的なコンクリートのひび割れ原因と特徴について、表を用いて解説されました。

次にひび割れの分類・ひび割れに関する項目を挙げて紹介され、現場において最も多く宮城先生が調査したベスト3について説明されました。
温度ひび割れにおいては内部拘束、外部拘束を話されましたが、この中で外部拘束ひび割れについては、ひび割れが貫通するケースが多いため必ず補修しなければならないとのことです。
ひび割れが入ってしまってからは遅いので、事前に温度解析をすることが必要だとも言われました。

乾燥収縮ひび割れについては、コンクリートの水分量の大小により発生する確率が変わってくるとのことで、W/Cがの管理が大切だと解説して頂きました。
沈下ひび割れについては、最も多く建設現場から相談を受けるひび割れではあるが、これは、打設時の締固め不足が主な原因となっていることを強調されていました。

3.ひび割れ診断業務の事例
ひび割れ調査・補修・補強指針(案)2009を基に、ひび割れ診断業務を実施していることを話されていました。技術者によって判断が異なることのないよう、この本を参考にしながら報告書をまとめているとのことです。
最も大切なのが、なぜ発生したのかという原因であり、その原因を基に、補修の必要性やその方法について決定していくので、原因究明が大切だと強調されました。

その後、資料調査・現況調査について説明され、又ひび割れの原因推定の手順について詳しく説明されました。
更に原因の推定方法から導き出すひび割れの評価方法について説明され、それに基づくひび割れに対する補修の選定方法や、注入工法による補修方法を紹介されました。

4.初期欠陥、経年劣化
施工中に発生する①コールドジョイント、②豆板、③砂すじ、④気泡あばた、などの初期欠陥について紹介し補修方法を説明されました。

5.経年劣化(早期劣化)
かぶり不足による鉄筋の腐食について説明され、アルカリ骨材反応・塩害・中性化などを簡略的に紹介して頂きました。
コールドジョイントが発生した後、40年経過した構造物の劣化状況について、実際に発生した事例を用いて説明され、塩害・アルカリ骨材反応・中性化についても先生が調査された事例を紹介しながら解説されました。

何よりも施工がコンクリート構造物の寿命に対して大きく影響することを最後に強調されて、先生のセミナーは終了しました。
コンクリートに携わる技術者にとって、非常に参考になる内容であったと思います。

上原講師

午後の部は、「島嶼離島県沖縄における環境地盤工学の役割」と題して、上原地盤工学研究所の上原方成先生(博士・琉球大学名誉教授)に講演して頂きました。

第一部 島嶼圏沖縄における社会資本基盤整備事業と地質・地盤の諸問題
Civil Engineeringとは、市民の平和のためのエンジニアリングだという話から始められました。
上原先生が大学を退官されたあと、上原地盤工学研究所に身を置かれた後の業績についての紹介があり、島嶼圏沖縄における社会基盤整備事業と地質・地盤の諸問題、第1回から第5回までの沖縄土質工学研究発表会の資料、目で見る沖縄の社会基盤整備・公共事業、赤土流出対策マニュアルなどのお話をして頂きました。

次に、島嶼圏の環境イメージについての説明では、島嶼圏という特殊性について強調されていました。
新生代の地質が沖縄において非常に重要な箇所であり、これらの作用が地盤に影響することを関連図を用いて説明されました。
地盤地質を甘く見ると、しっぺ返しが来ることを強く強調され、たとえばトンネルを掘ってみて初めてそこで問題に遭遇することなどの解説がありました。
沖縄の振興開発に対しては、プライドを持って皆さんに頑張って頂きたいとのお話があり、縁の下の力持ちとして頑張っていくことを奨励されていました。

クチャはホルト玉ねぎの皮がむけるように、土が枯れてくような感じになるため、すぐに表面を緑化したり、セメントによる吹付を実施したりする必要があり、このような地盤に社会資本をつくるということは大変であるが、それにも負けず社会のために整備していくことが大切だと言われました。そして素人の方にも理解していただく努力が大切だとも言われました。

第二部 国土保全と創造、地盤災害、環境・災害問題と地盤工学研究
自然災害の要因とは、加害の要因・地域の要因などが繋がっており、その結果地域特有の自然災害となっているとのことです。
その後、リスクマネジメントについて説明されました。構造物に関するリスクを自然災害・事故(ある程度人為的なもの)・その他に分けて解説して頂きました。
琉大の災害学会での大雨及び洪水警報・注意報の指標について、最近の動向を分かりやすく説明されました。
その後、すべり・崩壊について、先生が経験された事例を説明して頂きました。30年以上前に起こった琉開ビル陥没事故の様子などは、深く考えさせられるものであったと思います。

次に北部国道58号の防災事業についてのお話では、フレア護岸の件について、波返しが果たして機能を果たすのかという点で疑問だと言われました。又維持管理が大変なのではないかとも言われていました。
安里地すべりの写真を見せて頂き、泥岩とニービの区間は非常に扱いが大変だとの説明がありました。

赤土流出防止対策については、北部の赤土が流れてくると環境汚染が起こる。これは人災であり、この対策に行政は盛んに会議を開き対策を練っているとのお話がありました。
先生が最近の豪雨を受けて、「地盤と豪雨・洪水による地盤災害を防ぐために」1~9にまとめられた提言を、一つずつ丁寧に説明して頂きました。
安全・安心・安寧第一、3A 主義の実践、その上で共生を大切にしたいとのことです。

250622会場

第三部 土質力学・土質工学から基礎・地盤工学へ
トンネル工事の現場の写真を見せて頂き、現場の大事さ・安全対策・工事の難しさなどを、工事関係者だけでなく一般の方にも知ってもらいたいと話されていました。

次に、先生がまとめられた土質力学・地盤工学と他の科学との関係を示した図を紹介して頂きました。
先生は、小学生向けの地盤と人間の共生を考えた図を作成されたそうで、建設系の父ちゃんたちの頑張りについても話したいと言われていました。
又島嶼における地盤工学の役割について、ポンチ絵を描いたものを紹介して頂きました。いろいろな分野を巻き込んでいるのが地盤工学だと考え、大いにアピールしていくことが大切だと強調されました。

第4部 沖縄諸島の公共事業と地質・地盤特性
地質状況が見れる南部の現場の写真を見せて頂き、沖縄本島・宮古島・石垣島などの土質分類についても、図によって説明されました。
又琉球石灰岩体積状況図についてや、各地域の一軸圧縮強度と単位体積重量の関係図を紹介して頂きました。
琉球石灰岩においてのボーリングデータの写真を見せて頂きましたが、箇所によっていろいろとコアの崩れ方が違うことが分かりました。

次に基礎杭の施工について、島尻泥岩層まで打設するのかという議論について、先生が携わられた事例などをお話して頂きました。沖縄の地層の難しさを実感できたと思います。
又南大東漁港の掘割工事に携わられたお話を、写真を使用しながら解説して頂きました。
中城湾港についても、軟弱地盤でペーパードレーン工法で改良する時に苦労されたことや、環境保全委員会を作って携わってこられたことなどをお話して頂きました。

地盤工学の大きなテーマから、経験豊かな先生が携わられた沖縄の土質関係に関するお話など多岐にわたり、とても貴重なお話だったと思います。
上原先生の沖縄に貢献されている業績の大きさを、改めて感じた講演でもありました。

80歳を過ぎても尚、シビルエンジニアの最前線に立ち、活躍されている先生のお話を聞き、非常に感動致しました。

平成25年度7月特別セミナー(H25.7.2)

「美しい街づくりのための緑」&「プロジェクトマネジメント手法について」
(石川地域活性化センター舞天館:うるま市)
講師:牛尾 弘行氏((株)桃原農園)&本間 克三氏(沖縄PM研究会)

牛尾講師

午前の部は、(株)桃原農園の牛尾弘行さんによる「美しい街づくりのための緑」(観光立県沖縄でのグリーンメンテナンスの重要性)の講演でした。

1.日本の道路管理の現状
最初に日本の道路管轄別比較表などを用いて、植栽に関する実態について説明され、更に沖縄の実態についても解説されました。植生の発育の良い沖縄では、手入れを怠るとすぐに視認性を損なうくらいに伸び放題になるが、植栽管理に充てる予算のしくみが全国一律になっており、なかなか思うように手入れが出来ないとのことです。

私達も国道や県道を車で走るたびに思い当たることですが、先進国であればもっと配慮すべきことで、欧米に比べて非常に恥ずかしいことだと牛尾先生は言われました。

2.欧米での緑に対する考え方
①Adopter Highway制度、②10㎝ルール、③芝生はカーペットの延長、④芝生の管理もできない者は、その家に住む資格なし。
の4つを具体的に、事例を挙げて説明されました。

次にアメリカのパブリックベース等の写真を紹介して頂き、常に美しい状態が保たれている様子に感動しました。日本ではいつも伸び放題で、苦情が出てから役所が重い腰を上げて整備する状況であることが、非常に恥ずかしいと言われました。

観光立県沖縄であるのならなおさらのことで、国や県がやるだけでなく、芝生はカーペットの延長であると捉えて、みんなで整備すべきではないだろうかと提案されました。

3.造形美の基本3要素
①曲線、②立体感、③メリハリについて、アメリカの造園の写真を紹介しながらその概要を説明されました。確かに日本人が整備した道路の植栽などに比べて、フェンスの向こう側に見える庭の様子を見ると、一目で美しさの違いを感じます。

4.沖縄県内の美しい植栽管理
沖縄の道路や道路沿いの植栽を、先生が見られたものを紹介しながら解説されました。
日本庭園など美しい庭があるのに、なぜ機能面のみを優先した植栽の管理になっているのか、先生の話を聞いて改めて感じることが出来ました。

5.美しい街づくりのための緑
①観光立国「沖縄」でのグリーンメンテナンスの重要性について
②街並みを美しく保つことは、観光客だけでなく我々沖縄県民にも大切なこと
③県民一人ひとりが意識することで、素晴らしい街になる

と最後に話されて、先生のセミナーは終了しました。
観光立県沖縄での緑の重要性について、深く考えさせられる講演であったと思います。

本間講師

はじめに、「今日は土木や建築で必要な資格に対する勉強以外にも、皆さんの仕事に役立つスキルを身に着けていただきたい。」ということで話を始められました。

1.地元がリードする<土地区画整理事業によるまちづくり>北中城村アワセ地区事業のマネジメントの試み
嘉手納以南の米軍基地の返還跡地の利用において、このアワセ地区の事業がパイロット事業となっており、全国のゼネコンやコンサル、県内の自治体は注目しているとのことです。

土地区画事業は、とても複雑な制度があってなかなか対応が難しく、更に資金的な問題もあって、業務代行として竹中土木・国場組・仲本工業JVが実施しているとのこと。そこが中心になって工事費を立て替えて、工事を進めていき、工事終了後土地等が売れた段階でそれを補てんするという仕組みだそうです。
資金力のある会社でなければできない事業であり、地元の会社は大手ゼネコンとJVを組むしかないのだと言われました。

更に軍用地であったため、これまでの軍用地の借地料を得ていた地主にも利益がこれまで通り得られるような対策をとるために、イオンを招いて開発の核とすることになったとのことです。
これらの複雑な対応をするために、先生が開発したマイクロソフト社のマイクロソフトプロジェクトを使用したプロジェクト管理方法が、今日のメインのお話となります。
現在取り組まれている工程管理を、このソフトを使って作成したものを紹介して頂きました。工程のずれなどについても、このソフトを使えば楽に調整が可能で、又コストについても対応が可能だとのことです。

2.建設行の工事進行基準対応原価管理技術
日本の絵巻物は、絵が流れていき平面の絵の中に時間軸があるという、日本にしかない技法です。つまり工程管理とよく似ている。とのお話でした。
テーマは、「経営技術」コスト・マネジメント・テクノロジーだと言われました。

当初の契約額、工程計画、実行予算は何回も変更され管理し切れないから、原価管理ソフト、実行予算書、工程計画がうまく生かされていない。
つまり、プロセスの動態管理が必要だということで、PMツールを使わないとうまくプロセス管理ができない。と話されました。

エクセルで作成された工程表を用いて工程管理を行うと、どこかが工程が伸びると、全てずらしていかなければならず大変な作業になる。実際にマイクロソフト社の方に聞いたみたら、エクセルで工程管理はしないで欲しいと言われたそうです。

舞天館会場

工程管理とコスト管理とは引き離しては考えられない。たとえばバナナ曲線もその一つではあるが、動いているもの変化していっている工種・工程などでは上手く使えないことを強調され、PMの有効性を詳しく説明されました。

その後は、原価管理と工程管理の関連性を詳しく解説しながら、PMによる工程管理についてその手順を話されました。
納品伝票や請求書などと工程表のリンクができるといった、経営から現場が見えるようになることを具体例を用いて説明され、とても参考になりました。

国際シンポジウム「環境と人類」(H25.7.15)

「環境と海洋」(鬼頭誠氏:NPO法人緑と水の協会 理事長)
「人工ゼオライトを用いた海洋環境の改善」(舟川勲氏:NPO法人緑と水の協会 事務局長)
「沖縄の資源を活かした環境改善技術」(鈴木浩一:NPO法人グリーンアース 理事)
「天然素材を用いた忌避剤」(多田覚:(株)Wake 代表取締役社長)
「人と自然に優しい木橋」(植野芳彦:木橋技術協会 会長)
「水をエネルギーに!」(謝花義広:WAC Inc. 代表取締役社長)
(沖縄コンベンションセンター:宜野湾市)

沖縄コンベンションセンターにおいて、「環境と人類」と題したシンポジウムを開催し、6名の講師から環境技術に関する発表がありました。

鬼頭講師

はじめに、NPO法人緑と水の協会理事長の鬼頭誠さん(工学博士)から、「環境と海洋」と題して講演を頂きました。

現在においても世界的な食糧危機の中で、世界の人口は増え続け2050年には100億人を超すと予測され、飢餓者の増大など末期的状態に陥ることが推測されています。
対策として、伸び悩みを続ける農業の立て直しと、水産資源の見直しが急務となっているとのお話がありました。

水産物は日本人の食料源であり、年間1,440万トンもの世界一の消費国であること、そして世界最大の輸入国であることの説明がありました。
増大する海外依存・減少する国内生産から脱するためには、日本沿岸域での水産資源の再生が急務であるとのことです。

沿岸海域では、水質汚染や強アルカリの溶出等が原因となっている磯焼けを防止していくことが重要であり、対応策としてコンクリートの表面に硫酸第一鉄を含んだ特殊エマルジョン樹脂を塗布する方法や、コンクリートの硬化時に、硫酸第一鉄の固形粒を装着・含芯する方法などの解説がありました。

これらの対応策による実験が、何年も前から日本各地で続けられているとのことです。本技術の更なる普及によって、日本の沿岸域が豊かな海として甦ることが期待される貴重な講演でした。

舟川講師

NPO法人緑と水の会事務局長の舟川勲さん(工学博士)からは、「人工ゼオライトを用いた海洋環境の改善」についての発表がありました。

火力発電所から排出される石炭灰を原料とする人工ゼオライトは、吸着性やイオン交換性が非常に高く、土壌改良材等に利用されています。
沖縄県での発電は火力発電が主流であることから、石炭灰の再資源化の現状についての紹介がありました。

そして海洋環境改善の研究として、本部町で実施した人工ゼオライト混入ポーラスコンクリートを用いた海藻着生実験の結果を説明して頂きました。

渡久地港の沖約1.7kmにある養殖用のイカダに設置したコンクリートブロックを3か月間に渡って調査したところ、人工ゼオライトを10%混入したブロックでは、無混入ブロックに比べて顕著な着生効果があったとのことです。

沖縄の沿岸域改善にとって非常に価値のある研究結果であり、今後の実用化にむけて期待が持てる成果であると感じました。

コンベンションセンター会場

NPO法人グリーンアースからは鈴木理事(技術士)より、「沖縄の資源を活かした環境改善技術」の研究成果を紹介させて頂きました。

200℃以下という低エネルギー下でセラミックを製造出来る水熱固化技術を用いて、沖縄の赤土や粟石などを原料とした固化体の断熱性能実験や、廃棄物である焼却灰等の有効なリサイクル技術の説明をさせて頂き、併せて天然ゼオライト固化体の消臭実験結果も解説致しました。

シンポジウム終了後、多くの方々から本技術に興味を示して頂き、今後の事業化に向けて関係各社と協議を進めていきたいと思っております。

多田講師

(株)Wakeの多田覚社長からは「天然素材を用いた忌避剤」についての発表がありました。

沖縄の月桃やわさび等を原料としたサラバースという商品についての、忌避効果や孵化抑制効果・菌カビ抑制効果と、優位性・安全性の説明があり、簡易な作業性や即効性についても解説がありました。

対象生物としては、ネズミやゴキブリ・ダニ・小動物・農業害虫等幅広く効果が確認出来ているとのことで、生活環境の改善にとって非常に役立つ商品であると感心させられました。

今後も沖縄の天然素材を用いた更なる商品開発が進んでいくことに、期待したいと思います。

植野講師

木橋技術協会会長である植野芳彦さん(技術士)からは、「人と自然に優しい木橋」と題して、日本各地で架けられている木橋についての紹介がありました。

高知県の梼原町などでは”木”の持つ”ぬくもり”を活かした木橋を、観光面においても有効活用しているとのことで、間伐材の利用面でも環境に優しい取り組みであると感じました。

木橋には、CO2削減や自然環境との調和・伝統的風景の演出等の効果があり、観光立県である沖縄においても、このような木橋が多く架設され、観光客に親しまれる機会が増えるよう、私達もPRしていきたいと思います。

そして、コスト削減や耐久性の向上等の課題にも積極的に取り組んでいる木橋技術協会の今後の更なる技術開発に期待したいと思います。

謝花講師

最後にWac Inc.の謝花義広社長より、「水をエネルギーに!」と題して水を原料としたWACガスを、化石燃料と混焼する省エネ技術の紹介がありました。

ガス発生装置であるWAC-BOXは、水を電気分解して水素2:酸素1の割合のWACガスを発生させ、このガスをエンジン等に送ることで、燃料をより完全燃焼に近い形で燃焼させて消費燃料を大幅削減すると共に、CO2やNOX等の低減効果も発揮するとのことです。

実際の漁船やトラック等による燃費実験においても、ディーゼルトラックで20~43%、漁船で20~56%の燃費削減効果が確認されたとのことで、ガソリン価格が高騰する社会において、非常に有効な技術であると感心させられました。

今回のシンポジウムは海の日という3連休の最終日に開催されたにも関わらず、多くの方々に参加して頂き、又終了後の懇親会においても「非常にレベルの高い技術紹介ばかりだった。」とのお言葉もたくさん頂きました。

今後も沖縄にとって有効な環境技術を紹介する機会を作っていきたいと考えておりますので、何卒宜しくお願い致します。

平成25年度7月石垣・宮古・定例セミナー(H25.7.18~20)

「現場での新技術の活用」
(石垣市商工会館:石垣市、建設業協会宮古支部:宮古島市、沖縄県総合福祉センター:那覇市)
講師:伊藤 勝氏((株)ダブルクリック)

伊藤講師

3日間連続で、石垣市・宮古島市・那覇市において「現場での新技術の活用」と題して、(株)ダブルクリックの伊藤社長に講演して頂きました。

○NETIS技術について

現在約4500件が登録されており、伊藤社長のダブルクリックもいくつか登録しているとのことで、今後も登録へ向けてアイデアを持っているとのお話でした。

NETIS技術は国(国土交通省)が推奨・証明・評価もしているものではなく、単なる登録された技術に過ぎない。技術提案でNETISの技術を使うと、評価されることがあるが、あくまでも技術的に評価しているのであって、単純にNETISだから評価するということではないと解説されました。

又、次のような解説もありました。
・地域等の環境を踏まえてNETIS技術を活用することが技術提案、あるいは工事成績で評価に繋がる。
・つまり、NETIS技術を活用することで品質等が具体的にどのように向上するかが評価に繋がる。
・工事成績で評価されるには、まず当初の施工計画書に記載することが重要である。つまり、工事の特性を踏まえたNETIS技術を提案する。
・例えば、クレーン作業時に風速を測定する場合、どこでどの高さに風速計を設置するのか?即ち、最も危険と思われる場所に設置する必要がある。

石垣市商工会館

NETIS技術は5つに分類に分かれるとの説明もありました。
①推奨技術
②準推奨技術
③設計比較検討技術
④少実績優良技術
⑤活用促進技術

工事成績においては、活用申請書の提出で2点、実績報告書で2点加点され、工事を始める前に申請書を出して、工事でNETISの技術を使った結果を報告することによって、工事成績において4点取得することができるとのことでした。
又、技術提案にNETISの技術を書いた場合でも、活用申請書を出すことによって加点に繋がるとのお話もありました。

Vマークの付いた効果の確認されている技術は400件程度(登録技術は約4500件)であり、NETIS技術を所有している会社を高く評価する発注者もあるそうです。
一方で、施工には関係がなく間違って登録された技術が3割程度あるとも言われました。

建設業協会宮古支部

○具体的なNETIS技術の紹介(準備中の技術も含めて)

①WEBカメラと各種センサー
・ダブルクリックのWEBカメラはNETISに登録されている。
・観測値をリアルタイムで標示できる。
・赤外線監視カメラを活用して盗難防止、録画も可能である。
・画像を見ながら現場の説明、段階確認、打ち合わせ、やり取り等が可能である。
・工程会議などで発注者、協力会社、資材納入会社等で同時に情報共有が可能である。
・雨量計、風速計、風向計、騒音計、振動計、水位計等の定点観測が可能である。
・水位計で海上工事の波高(うねり)も測定できる。

CIMの導入ということで国交省では、“見える化”の推進を行っています。そういった観点から考えると、非常に先進的なアイテムがWebカメラの活用かもしれません。

②熱中症指数
・気温と湿度から熱中症指数を算出する。国で基準が決められている。
・この指数の基準を決めて警報(パトランプ等)をならす。
これらの話の中で、熱中症とはどういうものであるかということを、ビデオを見せて説明されました。

総合福祉センター

③緊急時情報提供システム
・QRコードをヘルメットに貼り付ける。
・QRコードはトヨタが開発し特許を持っているが、特許権を開放しているため、誰が使っても良いとのことです。
・クイックレスキュー(緊急QRコード):震災地区の指定技術として登録されている。
・東北震災地区や笹子トンネルの事故の例をあげて、クイックレスキューの重要性を説明されました。

④ICタグを活用したトレーサビリティ(履歴管理)
・ICチップを活用したトレーサビリティ
・ICチップは世界に一つの番号が付与されている。この空きスペースに暗号化して情報を入力する。書換え、修正は出来ない。強度は十分ある。温度変化にも対応可能。
・国総研での研究テーマになっている。(偽装防止を目的に開発した。)
・信憑性を向上させる。(生コン製造会社が生コンの強度試験を実施⇒発注者の信憑性は低い)
・供試体の管理(生コンの材令管理)
・二次製品の管理、出来形管理、
・情報量は小さい:半角で128文字まで
・読取機で10cm~30mまで(但し、距離が長くなると読み取る文字数は少なくなる。)

生コンのトレーサビリティを確認するために、スマートフォンの運行管理アプリ(スマホ運行レコーダー)を利用しての実例を紹介されました。このアプリはダブルクリックの自前のアプリだそうです。

⑤工程共有システム
・工事に係る全ての人々がウエブで情報を共有する。(現場、会社、協力会社、資材納入会社等)
・発注者の監督員も参加可能である。
・ファイルのやり取りも可能である。

クラウドコンピューティングを利用したソフトで、施工に関連する各社が確認し、参加できるようになっているそうです。
CCPMの工程表も全員参加型の工程管理になっているが、伊藤社長の会社で作成したスケジュール管理もそのようになっていました。いつでも、どこでも工程打合せに参加できるというシステムを目指しているのだと思います。

⑥水中3Dカメラ
・水面下100mの位置確認(水中ロボット)
ケーソンの設置位置を確認するために、水中ロボットを作成して確認した時の体験談をお話されました。又、水中作業の様子もこの水中カメラを使って確認したという事例を紹介されました。

⑦入札管理システム
公告⇒入札参加業者の検索⇒実績評価において持ち点の大きい会社を検索する⇒自社の実績評価点を確認する⇒評価点の優位、不利を検討⇒お金で勝負するかどうか検討⇒落札⇒実績として工事成績の管理⇒記録として残すというシステムだそうです。
受注合戦が厳しいところでは、このような取り組みが必要かもしれません。

○工事成績評定
NETISを工事成績評定の項目に当てはめて、使用することを計画したほうが良い。そのためには、どの項目に当てはめてあるか、当初の施工計画の段階で明確にしておき、施工計画書に織り込んでおく必要がある。と言われ、セミナーは終了しました。

平成25年度8月定例セミナー(H25.8.17)

「工事成績アップの基礎・利益管理の基礎・施工計画書作成のポイント」
(沖縄市産業交流センター・沖縄市)
講師:吉田 信雄氏((一社)建設情報化協議会)

吉田講師3

平成25年度8月定例セミナーは、(一社)建設情報化協議会の最高顧問である吉田信雄さんをお迎えして開催しました。吉田さんはNPO法人グリーンアースの技術顧問も務めて頂いております。

はじめに、総合評価方式が改善され「施工能力の評価」と「技術提案の評価」の二極化が進み、特に今後は「技術者のヒアリング対応」が重要になるとのお話がありました。施工計画書に対しては、その作成に直接携わり、十分理解していることが必要とのことです。
又、ヒアリングでは「現場には何回行きました?」や、「現場の一番の課題と対策は?」といった質問が出る場合に備えて、現場条件を良く理解しておく必要性についても述べられました。

次に、中間検査については、受注者が社内検査を実施することにより、施工評価点がアップするとのお話でした。現場運営の課題としては、原価管理・工程管理・安全管理・品質管理等について説明され、工事施工サイクル全般の遂行に対応できる技術者を育てることにしか、「品確法:総合評価方式」に対応できないとのお言葉がありました。

工事成績評定要領を満足させるためには、評価対象項目の履行の確認(チェック)は、施工計画書に記載されていることが前提条件であり、即ち評価対象項目を具体的にどのように履行するのか、その手段・方法が記載されていなければならないとのことでした。

又、創意工夫については幅広く工夫例が掲載されている全国建設業協会のHPを参考にすることの便利性を述べられ、様々な創意工夫例を紹介して頂きました。

250817会場

工程管理に関しては、吉田さんが以前から作成に取り組んできたというネットワーク工程表についての詳しい解説がありました。
ネットワーク工程表は工期中のトラブル等や設計変更に対して、工期的に最良の措置や対応が可能であることから、是非取り組んで欲しいとのことでした。

エクセルでも簡単に作成が可能で、基本ルールさえ覚えれば比較的容易に工程を組むことが出来る等の利点を紹介して頂き、非常に参考になりました。

最後に、コミュニケーション(技術者の対話力)についてのお話がありました。コミュニケーションを上手く取る基本や、コミュニケーションの重要性等、今後の技術者に求められている対話能力を磨くための貴重なお言葉を頂いたと思います。

今回のセミナーは工事成績をアップするためだけではなく、建設技術者にとって率先して実行すべき点を幅広く解説して頂き、非常に有意義な内容でした。

平成25年度8月特別(1)(2)(3)セミナー(H25.8.22-24)

「3D-CADセミナー」
(名護市北部会館、沖縄県総合福祉センター、沖縄市産業交流センター)
講師:後藤 文昭氏(アルス北海道)

後藤講師2

8月特別セミナーは本年2月に実施した3D-CADセミナーが好評で、再度開催して欲しいとの要望も受け、北海道の網走よりアルス北海道の後藤文昭代表に、暑い中再び来沖して頂きました。
前回に引き続きフリーソフトのSketchUpを使っての3D-CADセミナーです。
名護市・那覇市での特別(1)・特別(2)セミナーは基礎編、最終日である沖縄市の特別(3)セミナーは土木応用編とし、希望者には2日間に渡って3D-CADを学べる機会となりました。

基礎編においては、まず受講者が持参したノートパソコンに対して、後藤先生が用意して頂いたDVDによりインストール等の準備とセッティングを行ってから、SketchUpの基本操作について学びました。
平面上の長方形や円形の面を押し出して立体化するプッシュプルコマンドや、点や線・面を掴んで移動やコピーを行う移動コマンド、回転コマンドやオフセットコマンド等を練習した後、一つのコーン(パイロン)を等間隔に複数個コピーして並べる操作の作業によって、受講者の皆さんは徐々にSketchUpに慣れていったように感じます。

又、尺度コマンドでは簡単に立体の形を変化させることが出来ることを学び、フォローミーコマンドにおいては面取りやヒューム管作成等を通じて、SketchUpの便利性を実感することが出来ました。
最後に3D重機を配置移動する操作を体験し、建設技術者にとっては3D-CADの実用に向けて大きく期待が膨らんだように感じました。

3日目の応用編では、基礎編より更に実用に向けての多くの操作を学ぶ機会となりました。
まず、図面の取込み機能を使って2Dで作成された橋脚構造図のSketchUPへの取込み実習を行い、躯体・基礎杭・フーチングのパーツを作成しながら橋脚の3D化を完成させることによって、短時間で立体図面が完成する便利性を感じることが出来たと思います。
この実習では後藤先生が教室内を丁寧に回りながら、個別に指導して頂きました。

次にサンドボックスの機能では、地形を簡単に作成する操作や、切土・盛土計画による土量自動算出操作を学び、横断図から作成した高規格道路や、トンネル3Dでのスケルトン(透過)による可視化等の便利性についても解説して頂きました。
これらを作成することが出来れば、発注者に対しても説得力のあるプレゼンを行うことが可能であると感じます。
又GoogleEarthをSketchUpに取り込んで活用する方法も紹介して頂き、バーチャルな世界に入り込んだような感覚を覚えることが出来ました。

最後に国交省が導入を進めているCIMの内容や、橋梁3Dデータ使用のガイドライン、最近話題になっている3Dプリンター等の説明をして頂き、ゼネコンにおいては先行して取り組んでいる建設業界の3D化が、今後はスピード感を持って進んでいくことを実感しました。

250823会場

3D化への期待として、例えば橋梁の下部工工事では鉄筋の配筋が密であり、それを組むのに試行錯誤している現状があります。最近は耐震性向上のために、配筋が複雑化しているのにも関わらず、設計図では相変わらず同じ太さの線で鉄筋が表示されており、これでは交差する箇所や鉄筋同志の干渉が全く分からない状況ですが、図面が3Dで描かれていれば比較的簡単に鉄筋が組めるのだろうと感じます。

今回のセミナーでは後藤先生の懇切丁寧な説明により、受講者の皆さんも3D-CADについて随分と理解を深められたことと思います。
後方から見ていても、多くの方が先生の指導通りに立体化した図面を描き上げていたように感じました。

建設業界が3D化の方向に向かう中での今回のセミナーは、沖縄の技術者にとって貴重な機会であったと感じます。
グリーンアースでは今後もアルス北海道(後藤代表)との連携により、土木建築分野における3D-CAD(CIM・BIM)の推進・普及に努めていきたいと思います。

平成25年度9月特別セミナー(H25.9.6)

「建設現場の原価管理」&「建設現場での地球温暖化とエコドライブの取組み」
(沖縄県立博物館美術館:那覇市)
講師:前田 憲一氏((一社)建設情報化協議会)&若林 真也氏((財)沖縄県公衆衛生協会)

前田講師6

午前の部は、(一社)建設情報化協議会の前田憲一氏に講師を務めて頂き、「建設現場での原価管理」と題しての講演でした。
前田さんはゼネコンの前田建設工業で原価管理のシステムを開発された方で、その経験や現場での実務を併せ持った話をして頂きました。

1.原価管理とは
PDCAを回すことが出来るものが原価管理である。ということから話が始まり、財務管理と原価管理、建設工事の特性(注文生産、屋外生産、長期生産)、建設工事の原価管理の特徴、原価要素の分類、歩掛の重要性などについての説明がありました。

2.原価低減活動とは
原価低減を行うには、どのような取り組みが必要かについて、コストダウンのマインド、トップダウン方式でやるものではない。歩掛を把握するには、設計と施工の技術が必要である。というようなポイントを、11点挙げて解説されました。

3.実行予算
実行予算制度についての概説があり、実行予算制度の運用方法なども詳しく説明されました。更に実行予算制度の失格例について、5つほど事例を挙げての紹介がありました。
その際に、実行予算書と施工工計画書の関連性を強調されていました。

4.現場代理人のなすべき原価管理
①原価目標の確認、②実行予算の作成、③原価管理(施工中)、④原価の分析(施工中、後)、⑤原価の見直しと、工事の流れに基づいて、現場代理人のなすべき原価管理の内容を事例を挙げながら説明されました。

5.予算損益分類コードによる原価管理システム
生産システムの中の原価管理について、コスト低減を目指したデータの「一貫性」と「共有化」に着目した原価管理の一つのやり方を解説されました

6.原価管理システムのポイント
20年以上前に前田建設工業で前田さんが開発された方法についての説明がありました。
①利益情報は現場から、②利益情報はタイムリーに、③利益情報は早期に把握、④利益情報の共有、⑤設計変更の獲得、⑥原価意識の向上についての各項目について、前田さんの経験やコンクリート工事の事例を挙げながら丁寧に説明して頂きました。

7.工種体系
工種体系と歩掛の作り方、工種と小工種、工種と費目などを体系的に事例を挙げて説明されました。

8.管理予算
管理予算とは、実行予算と実績原価を対比する最小の単位であり、原価管理の手順としては、管理予算作成・確定原価入力・未確定原価入力・予算原価・予算損益理由だとのことでした。
次に、管理予算の作り方の概要を説明された後、橋脚築造工事を事例にして、2つのケースについて実際に作成されているかのような説明がありました。ここでPDCAを毎月やることの重要性を強調されていました。
又この中で、未確定原価を如何に明らかにするか。これが原価管理のポイントだとも言われました。
続いて、先ほどの橋脚築造工事の事例を元に、実際にある時点での原価管理方法を詳細に説明され、受講者もうなずきながら話を聞いているように感じました。

9.設計変更の処理方法
最初に概要を説明され、設計変更による利益予想・工事最終予想総括などについての話がありました。

10.原価情報の共有化
会社単位の管理となるため、社内で共有化し知的財産として今後の工事に利用できるようにすることが重要ということで、事例を挙げて説明して頂きました。

11.利益を向上させるポイント
利益を向上させるポイントを11項目挙げて、これまで原価管理について説明されたことを総括しながら説明されました。

12.評価基準
社内での評価するための方法として、どのようなやり方があるか説明されました。

建設現場における原価を管理するにあたり、非常に有意義な講演であったと思います。

若林講師3

午後の部は、(財)沖縄県公衆衛生協会の若林真也さんによる、「建設現場での地球温暖化とエコドライブの取組み」と題した講演でした。
初めに、地球温暖化防止活動推進センターの役割について話されました。
センターがどのような活動をしているのかといった紹介や、エコ診断・エコドライブの実写教習などの活動を行っているとのことです。

1.地球温暖化と沖縄
温室効果ガスについての説明があり、もし温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、フロンガス等)が無かったら、気温-18℃の氷の世界になってしまうため、適当に存在することが必要ではあるが、今は多くなり過ぎているということでした。
温室効果ガスの排出量=温室効果ガスの吸収量となることが理想に対し、排出量の方多くなってきて、温暖化が起きているとの説明でした。
一人の人間の一生くらいの時間で、二酸化炭素が急激に増えており、これは化石燃料の増加と、二酸化炭素の排出増が比例していることに起因します。つまり人類の活動が、自然が持つ「復元力」を超えたという解説がありました。

気温の上昇に伴って、海面の上昇や氷河の減少・異常気象、身近では、熱中症の増加などが顕著に見られており、世界中の温暖化の影響による事例を説明されました。

2.地球温暖化対策
地球温暖化の原因として、化石燃料の大量使用やライフスタイルの変化等が挙げられ、対策として単純に昔の生活に戻ればよいということではなく、緩和策として、温室効果ガスの排出を抑制すること、適応策として、地球温暖化による被害を軽減するための対策を立てることが重要であるとのお話でした。

(1)緩和策
省エネ・・・行動による省エネ、機器による省エネ
創エネ・・・自然エネルギー(太陽光発電、太陽熱温水器、燃料電池、コジェネレーション、風力発電、地熱発電)

(2)適応策
台風、海面上昇・・・風水害に対するインフラの整備
熱中症・・・気温に応じての作業の中止
熱帯感染症・・・啓発マニュアル等の整備
について、事例を挙げて詳しく説明されました。

3.エコドライブについて
エコドライブが必要な理由として、①ガソリンの値段が2030年で223円くらいになる、②交通事故が減らない等とのお話がありました。
エコドライブとは、車の運転を発進・巡航・減速・停止に分類し、それぞれの局面で適切な運転をすることで燃費の削減を図るものであり、具体的な効果として、温室効果ガスの削減・燃料費の削減・交通事故の減少が挙げられるそうです。

エコドライブの方法としては、①緩やかな発進、②適切な速度、③余裕のある車間距離、④先を見た運転、⑤早めの減速、⑥走行環境を把握(漫然運転ではない)があるが、ゆっくり走ることということではなく、間違えないで欲しいと強調されました。
発進操作やアクセルの踏み方・ふんわりアクセル・加速の仕方・巡航(加速の少ない運転)、減速(早めのアクセルオフ)、停止(アイドリングストップ)等などについて、事例を交えながらの詳しい説明がありました。
又、運転以外に暖機、エアコン使用、タイヤの空気圧の管理などもエコドライブに入るとの解説がありました。

250906会場

最後にまとめとして、地球温暖化は将来私たち、私たちの子供の世代の生活に大きな影響を与えるため、地球温暖化の影響を最小限にとどめる方法として、①自然エネルギーの導入、②省エネの推進、③製品の選択による省エネを紹介して頂きました。

地球温暖化防止の為にも、今後は自動車の運転からエコに貢献していきたいと思います。

平成25年度9月定例セミナー(H25.9.28)

「バイオレメディエーション用微生物の探索と利用法」&「橋梁マネジメント」
(名護市労働福祉センター:名護市)
講師:田邊 俊朗氏(沖縄高専准教授)&植野 芳彦氏(木橋技術協会会長)

田邊講師2

午前の部は沖縄工業高等専門学校生物資源工学科准教授の田邊俊朗先生による「バイオレメディエーション用微生物の探索と利用法」と題した講演でした。

1.土壌汚染と対策
米軍基地返還跡地、産業廃棄物処分場、ガソリンスタンド、有機溶剤を多用する事業所などの汚染された土壌に対して、バイオレメディエーション(微生物の働きを利用する、土壌・地下水等の浄化技術)が役に立つというお話から始まりました。
バイオ浄化技術の事例として、豊洲新市場土壌汚染対策工場で行っているものを紹介して頂き、鉄粉法・吸着ビーズ法・ホットソイル法などの説明と、バイオレメディエーションの中のランドファーミング法(酸素をよく供給する)・バイオスパージング法・バイオパイル法などの解説がありました。

その後基本的なところに立ち返り、では何故バイオで土壌汚染対策をするのか。ということので説明がありました。これは、法整備によるところが多いということで具体的にどのような法律が整備されたかを解説して頂きました。
改正前は、ほとんどが汚染土壌を掘削除去する方法が主流で、特に鉛等の重金属類は持ち出しがほとんどだった。それを汚染拡散防止の考え方が中心になり、汚染土壌搬出の制限・抑制が行われて、掘削除去から原位置浄化へと進んでいる。時間を掛けて、より低コストなバイオレメディエーションへの流れとなっていることを分かりやすく説明されました。

微生物の探索範囲は世界中あらゆる場所に可能性があることや、生物資源保存機関から供与してもらう手段等や、国内の主な微生物分与期間を紹介さました。
その中で、沖縄県は亜熱帯性生物資源の宝庫だとのお話があり、浄化性能に優れた菌株が多くあるので、興味のある方は探してみるのもよいかとのことでした。

2.バイオオーグメンテーション(外部で培養した微生物を導入する方法)用微生物の探索
実際に微生物を採取に行く際の注意点を述べられました。
①複数人数で行くこと。②何を採取してくるか。③どこで採取してきたか。④採取量(土の場合は、耳かき一杯~市販のビニール袋一杯程度、⑤資料の整理・輸送、⑥浄化微生物の単離、⑦水、⑧無菌室、⑨クリーンベンチ、⑩安全キャビネット、⑪ドラフトチャンバー、⑫滅菌機器、⑬殺菌消毒、⑭フリーザー、⑮液体窒素保存槽、⑯ピペット類、⑰培養器、⑱分注・秤量機器、⑲培養法 について、実際に採取してから培養までの方法を詳しく説明して頂きました。

3.土壌中の微生物
細菌、放線菌、真菌の3つが生存競争していることを興味深く紹介され、その際に、抗生物質、分解酵素などを発生させることを紹介されました。

4.浄化対象は何か
鉱物油を浄化する場合
集積培養・継代培養について詳しく説明されました。又、単離・鉱物油プレート培地での培養などを説明された。

5.キノコの単離
キノコの単離用培地には、ジャガイモ、V8ジュースなどで行うことが多く、キノコの場合は、さまざまな培地で試す必要があるとのことでした。

次に、ビデオによる微生物のDNA解析の方法を紹介されました。
沖縄は微生物の宝庫なので、土壌汚染に有効な微生物を発見して、土壌汚染対策に貢献することを勧められました。
今回の講演によって、微生物を使った汚染物質の除去過程がある程度理解出来たように感じます。

植野講師3

午後の部は、木橋技術協会会長である植野芳彦先生による「橋梁マネジメント」と題した講演でした。

1.はじめに
公共工事の仕事の流れとして、発注者側の構造や民間建設業界との関連を説明された後、建設業界の使命として、①より安全で暮らしやすい社会の実現、②国民の命を守る、③経済発展をより安全に、より安く、より効率体に実施することについて説明されました。
社会資本整備の経緯として、①明治~戦中、②昭和20年代、③昭和30年代、④昭和48年の石油ショック以降、⑤バブル経済崩壊以降、⑥今後~について、事例を挙げながらの解説がありました。
アベノミクスで経済成長を期待する半面、人口減少が税収の減少につながり、建設投資の減少へと負のつながりをもたらす懸念、しかし役所側は、作りたいのが本音かもしれないとも言われました。そのためには、効率的にマネジメントを行っていかなければならないとのことです。
マネジメントサークルでのPDCAを回すには、本来は、P⇒D⇒C⇒A⇒C⇒Pとなるべきで、アクションの後のチェックがないため、マネジメントがうまく動かないのだと説明されました。

2.橋梁マネジメント
狭義では、橋の一生をコントロールしていくこと。広義では、社会資本としての利用価値や地域に与える影響等を考慮しながら、コントロールしていくこと。と説明されました。
まず最初に、構造物が壊れる要因を考えておかなければならない。何故壊れるのかを知れば、より寿命の長い橋梁をつくることができる。と言われました。

(1)計画
それを基に、まずやらなければならないのが計画だと言われ、計画検討の流れについて詳しく述べられました。

(2)設計
実施設計の流れを説明されました。
設計の問題点として、設計施工の分離という法律があり、設計と施工の間にデータの寸断が行われる。これが、問題だとのことです。
又、土木構造物に関する基準類の効力のイメージ図を元に、基準に関する重要性と会計検査院がどのようなものの見方をするかを説明されました。
設計段階における最近の傾向として、①詳細設計のブラックボックス化、②コスト縮減、③提案指向、④環境負荷などについて求められるようになってきている。
仕様や基準の理解が不足しているため、基準を補完する資料が必要だし、机上論で付け焼刃的な知識が多くなっており、ソフトへの過信、理解不足が多くなっているとのことでした。

(3)木橋
「日本は木の文化であり、高度成長期に消えてしまった木橋を近代木橋として甦らせる」取組みの紹介がありました。
日本は地震の多い国であるため、瓦をつくる技術を持っていながらレンガを作らなかった。しかしそれは、地震が多くて粘りのない材料で家屋を作ると崩れてしまうからであって、地震でも壊れない家を作るために木で家を作るようになったと言われている。
そこで、先生が平成6年度~平成15年度までの9年間を掛けて、木橋の架設に携わっていったとのことです。鹿児島、大分、四国で、モデルとして近代木橋を建設し、集成材技術の発展を機に、鋼橋のようなデザインの橋を作ることができたそうです。

木橋の3K ①環境の素材である、②観光資源として、③健康促進効果があると言われ、日本の伝統的な文化を後世につなげていくためにも、今後も木橋を作り続けて欲しいと感じました。

(4)耐震設計(耐震設計の考え方)
地盤の構造によって地震の揺れが違ってくると言われた。
レベル1地震動、レベル2地震動、タイプⅠ、タイプⅡについての定義を詳しく説明されました。
耐震機能を果たすためには、①健全な構造物であること、②構造物はバランスが重要だとも言われました。
又免震構造についても、ふさわしいもの、ふさわしくないものを例に挙げて説明されました。

250928会場

(5)維持管理
構造物診断のチェックポイントとして、①材料と構造、部材と構造全体に対する理解、②長寿命化、アセットマネジメント、予防保全=コスト縮減と思って混同していないか?③点検・調査実施で安心していないか、④マニュアル作成で安心していないか。しかし大事なことは、健全な構造物を長持ちさせることでるとのお話でした。
設計、施工は適切か?健全性をいつまで保たたせるか?点検・補修の重要性、リニューアルやリユースも視野に入れる必要性や、トラブルシューティング型維持管理(予防保全型)を求めているのに、なかなかこの方法が推進されていないのが問題だと言われました。

又調査診断実務の種類として、超音波探傷試験、放射線透過試験、浸透探傷検査、過流探傷検査などの実施状況を紹介して頂きました。
今後、点検ロボットというものがどんどん出てくるだろうとのことで、高所や狭所などには、このようなロボットが点検の精度を上げるには必要になるだろうと感じました。
長寿命化に必要なこととして、①健康志向(愛橋意識の醸成)、②食の改善(十分な予算、③医術の進歩(技術革新)、④医療システムの向上(維持管理システム)、⑤カルテの充実(データベースの充実)を挙げられ、今後の点検方法として、①モニタリングとロボット化、②検査機器の進歩、③センサー技術の進歩、④データベース化、⑤しくみの改革を挙げられました。

(6)コスト縮減
新技術への過大な期待は、逆効果であり、適切な判断能力が必要だと言われました。
又技術開発、NETIS、技術審査証明のお話がありました。

(7)海外事業
国内から海外への期待は大きいが、利益が小さい(赤字)問題点の指摘がありました。

(8)PFI,PPPの課題
①事業スキームをどのようにつくるべきか、②官・民のリスク負担(法的・経済的)、③さまざまな発注形態の改革、④VFMがすべてではない、⑤事業の工夫が必要等について、例を挙げて説明されました。

最後に韓国で先生が、CMとして実施した橋の紹介がありました。
バラエティに富んだお話に、先生の豊かなで高密度な経験を感じるセミナーであったと思います。